育休中にスマホゲームを開発してストアにリリースした

現在絶賛育休中なのですが、育児の合間にスマホ向けゲームを開発し、Google PlayApple Storeにリリースしました。

本当にちょっとしたゲームなのですが、企画からデザイン、シナリオ、実装すべて自分でつくったオリジナルゲームです。

生まれてはじめてゲームのリリースに成功したので、せっかくなので色々と振り返ってみようと思います。

リリースしたゲーム

『Macaron 〜マカロンとの4日間〜』というゲームをリリースしました。

本当に拙いちょっとしたゲームなのですが、ゲームプレイ自体は5分くらいで終わるのでよかったら遊んでみてください。

App Store

apps.apple.com

Google Play

play.google.com

開発に利用した主なツール

デザイン

Figmaを使いました。

個人利用の範囲では無料で使えるというのが一番の理由です。ちょっとした趣味で課金するにはAdobe税はハードルが高かった。

Figmaは使ったことがなかったのですが、Youtubeにあるチュートリアルをやったりゲームデザインのトレースをしたりして、なんとか簡単なデザインは作れるようになりました。

便利だったのはプロトタイプ機能で、Unityでの実装前に基本的な画面遷移やアニメーションの動きを確認できたのはとても良い体験でした。

ゲームエンジン

Unityを使いました。

理由としては2Dスマホゲーム開発の手軽さと、昔ほんの1年ほど仕事で触っていたこともあり比較的知見があったためです。

なんでスマホゲームかは気分です。なんかこう、スマホゲームってこう、自分のアイテム感ありません?

そういう意味ではSwitchもいいなーと思ったのですが、趣味で気軽に開発して基本無料で出すならスマホかなーと。

シナリオ管理

Google Spreadsheetを使いました。

一番の理由は加筆編集が手軽だからです。API経由でシナリオ読み込みもできるので、編集をすぐに反映できるのも良いポイントです。

ちなみにUnityへのシナリオ読み込みは下記で書いたスクリプトを応用してます。 mich0w0h.hatenablog.com

どのくらい時間をかけたか

111時間、約100時間ですね。

内訳は以下

  • デザイン: 14%
  • シナリオ: 6%
  • 開発、及びリリース作業: 80%

なぜゲームをつくったのか

正直よくわかりません。

シンプルにいうと結局は「やりたかったから」です。

「やりたかったから」の中にごちゃっと混ざっているものを雑多に書いてみるとこんな感じでしょうか

  • 作ったものが動くのが楽しい
  • シェルスクリプトとかでなく、見た目が好みのやつがこう、いい感じに動くのが良いというか
  • 自分だけの箱庭。なんにも気にせず自分で要件から好きに作れて好きに壊していいし好きに直して良い、育てる感じがぐっとくる
  • 物語性があり「これを自分が作った」と言える作品のようなものを作りたい
  • 小説や漫画だとなんだかすごく恥ずかしくなってしまったり、煮詰まりすぎて手が動かなくなったりしてしまい、ゲームがちょうど良いのでは?と思ったり
  • 妊娠期間が調子ダメすぎてガチで全てのことに手がつかなかったのでその憂さ晴らし
  • ゲーム開発は仕事でやるには大変すぎるが趣味で手抜きしながらやるには長く楽しめて良さそうかも

完成させられた要因

ゲームなど創作系の作品って完成させるの本当に難しいのです。さまざまな障壁により途中でやる気を喪失してしまう。

もかしたら全然余裕でできちゃうよって人も多いかも知れませんが、自分は何度も挫折してます。

なので今後のためにも、今回はなぜ形だけでもストアにゲームをリリースできたのか?を整理しておこうと思います。

もちろん全てあくまで仮説です。

全てに共通することととしては「とにかく一にも二にもやる気を保つこと」です。

デザインから先に作った

自分はデザイン経験はほぼなく、実装の方が比較的経験があるので、直感的には実装ファーストで作るのが良い作戦のように思われますがこれは罠でした。

自分、いい感じのデザイン素材じゃないと動かしてもテンション上がらないのですよね。

以前いらすとや素材だけを使って実装ファーストで開発に取り掛かったことがあるのですが、全然気が乗らずにすぐにやめてしまいました。

なので、今回は頑張ってFigmaをイチから学んでデザイン先行でゲームを作ったのですが、この作戦が大当たり。

割りと気に入った手作りのデザイン素材があると動かしてみたくなるし、実際に動くとものすごくテンションが上がります。

そういった報酬体験を積み重ねたおかげで手を動かし続けられたのは大きいかなと思います。

シンプルなゲームに徹した

実は今回の『Macaron 〜マカロンとの4日間〜』を開発する前に、脱出ゲームを作ろうとして挫折してます。

デザインファーストで、割と気に入ったデザインが作れたのにも関わらず、です。

脱出ゲームだと場面も数が必要ですし、デザイン素材もたくさん必要です。脱出要素の仕掛けを考えるのも一苦労です。しかもキャラクターも何体も出現させようとしてた(アホ)

結局は完成のビジョンが見えず心が折れてしまい、開発を中断したのでした。

『Macaron 〜マカロンとの4日間〜』ではこの反省を活かし、以下のようなシンプルなゲームプレイに徹し「見ててなんか可愛い」だけを目指すことにしました

  • キャラはマカロンのみ
  • 場面は一つだけ
  • プレイ方法はタップだけ

途中で「これもやってみたい」みたいな欲が出てきてもぐっと堪える。これ大切。完成させてからまず物を言いなさいと自分に言い聞かせます。

そのおかげで「あとこれだけやったら終わるぞ」という感覚のまま最後まで走り抜けることができたのだとと思います。

本当はストーリーとかも作らない予定でしたが、ある程度動きを作ったらマカロンを喋らせたくなってしまい、気が付いたらシナリオを書いていました…。

「今作っている箇所がとにかく動く」を最優先に実装

例えば、今は1つだけチャプターを実装しているが後から何個かチャプターが増えるとわかっていても、チャプター1個分のゲームプレイに最適化したコードを書くようにします。

ついつい先のことも考えてコードを書きたくなるのですが、そこをぐっと堪えます。

「動いた!」という脳への報酬をできる限り早く供給するためです。

機能を拡張するときというのは時間がかかったとしてもモチベが続きやすい感覚があります。

また、先々のことを考えてコードを書いたけど「よく考えたらこれいらなくね?」「時間かけた割にゲーム制作進捗なくない?」となったときのなんとも言えない悲しさはモチベに毒。

各工程に合った作業の仕方をする

個人開発なので企画、シナリオ、デザイン、実装その他全て自分ひとりで作ることになります。

各工程はそれぞれ別の脳を使う感覚があり、うまくやりくりしないと手が動かなくなったりします。

特に前段階の作業ほど腰が重くなりがちです。無から有を作るのはやはり大変です。

何度も失われそうなやる気に火をつけるため、色々なやり方を模索しました。

  • 企画はデザインと並行で考える。ビジュアルからインスピレーションを得るタイプ
  • 基本のゲームプレイで使用するデザイン及びアニメーションは実装前に作成しておく
  • シナリオは小刻みに書く。最初のチャプターのシナリオを書いたら実装に移り、実際に動いているゲームを見てインスピレーションを得て次のシナリオを書く
  • シナリオは思いついたときに書き、それ以外の時間は別のタスクをやる。答えがある系タスク推奨
  • 実装は他作業の気分転換に使う。他工程と比べたら要件決まってるし負荷がすごく軽い
  • メンタル荒れたときは作業せず離れ、回復に徹する。心身の健康が一番大切。

集中できる環境があった

まず、育休取得中です。

ゲーム開発は初めての体験も多く、やはり負荷は大きいです。

育児家事などにより、1日の作業時間自体は仕事の合間に進めるのと変わらない程度ではありましたが、慣れないかつ業務に直結しないゲーム開発となると、仕事しながらだったら続けられなかった気がします。

今回の経験でだいぶ雰囲気が掴めて次は仕事しながらでもいける感覚ができたので、育休はいいきっかけだったなーと思います。

肝心の育児家事はどうなんだというところですが、生後3ヶ月頃には夫と協力体制でかなり安定して回せるようになっており、細切れ時間ではありましたが心置きなく集中して開発に取り組むことができました。

安定育児体制に役立ったものたちはこちらの記事で紹介してます。 mich0w0h.hatenablog.com

この記事でも紹介してますが、結局一番は夫が育児担当をしてくれていることが大きいです。

自分は基本的に授乳だけやってあとは自分のペースで家事をしているので、ゲーム開発に集中しやすい状況でした。

夫よありがとう。

執念

自分は妊娠期間がクソで、安定期になっても何も思考が働かず無気力死体化、全ての娯楽が楽しめない本当に苦しい日々を過ごしてました。

個人開発なんてもってのほかです。

あの頃を思うと何かに取り組む気力があり、思考が働く状態にあるだけで本当に幸せだと思えます。あの苦しみを成仏させたい一心で開発の手が止まりそうなときも踏みとどまれました。

何かを完成まで持っていくのにはこういった執念は侮れません。

おわりに

趣味ゲーム開発はとても楽しかったですが、本当にちょっとしたゲームにも関わらず、やはりリリースまで持っていくのは大変でした。

完成したー!と思ってからがまた長いのよ…。 mich0w0h.hatenablog.com

ということで、拙いゲームですが良かったら遊んでください。(シナリオも自分で作ったので少し恥ずかしい気持ちもありますが…)

App Store

apps.apple.com

Google Play play.google.com

ぼやき

Apple Developer Programへの課金がお高い。Apple Storeリリースするのやめようか真剣に悩んだレベル。

Google Developerは買い切り3,816円、Apple Develperは年間12,980円 ※2023年10月時点

ストアのクオリティを担保するためなのはわかるが、趣味個人開発者には厳しい。